英単語集を選ぶ基準はどうしたらいいの?
塾長おすすめ参考書、今回は参考書紹介と言いつつ高校生向けの「英単語集」の中から偏差値50〜60前後までの大学受験に有用なものを何冊をかご紹介しようと思います。
一口に英単語集と言っても世の中には様々な単語集が出回っていてチョイスに苦労しますよね。中には学校で配布された英単語集をそのまま利用している方もいらっしゃるでしょうし、書店で何気なく手に取ったものを使っている方もいるかと思います。でも「な〜んかしっくりこない」という場合もあるのではないでしょうか。自分に合った一冊を見つけたい、そんな気持ちになった時には何を基準に単語集を選べばよいのでしょう。
まず最初に考えるべきことは、当然ながら単語集を使う目的です。学校の定期テストで点数を取れるようになりたいのか、英検で希望の級を合格出来るようになりたいのか、目指す大学の入試に万全の単語力を身につけて臨みたいのか。自分の目指すゴールに合わせた単語集を選ぶことが大切です。
次に考えたいのは単語集が採用している形式です。実は単語集に収録されている単語は、レベル帯・使用目的が同じレンジのものであれば8割方は被っているといって過言ではありません。例えば共通テストレベルをクリア出来ることを謳っている単語集が2種類あるとして、そのどちらに掲載されている語も全く違うとなれば「共通テストレベルとは?」という話になってしまうことからも想像出来るかと思います。では何が違うのかと言えば、ズバリ覚えさせ方ということになります。代表的な形式は以下の通りです。
- 出題頻度順に単語を学んでいく形式
- 英語長文の中で推測力も養いつつ単語を学んでいく形式
- 短文ごと覚えて一文で複数の単熟語を学んでいく形式
- 実際の出題を意識して単語を学んでいく形式
どの形式を選んだとしても、繰り返し最後までやり切れば実践的な単語力は十分に身につきます。大切なのは自分の好みにあった形式の単語集を選択することです。また近年はスマートフォンの普及に合わせてオンライン経由で音声が聞けるものや単語テストが出来るものも増えてきていますので、そのような点を加味して選んでみても良いかもしれません。
とにかく大切なのは目的と形式、これを間違えないことです。
今回は偏差値50〜60前後までの大学受験を目的とする単語集の紹介になりますので、その中から形式別にいくつかおすすめを挙げさせて頂きたいと思います。
出題頻度順に単語を学んでいく形式 英単語ターゲット1900

英単語ターゲット1900(旺文社)
大学受験用単語集の定番中の定番と言って間違いないものが本書です。初版発行が1984年なので実に40年以上も改訂を重ねてきた単語集ということになります。私が高校生の時にも多くの友人が使っていました。
単語は基本的に一語一義のシンプルな構成で収録されており、出題頻度順に並んでいるため利用開始直後から効果を実感しやすいというメリットがあります。また1セクション100語、それが全19セクションに分かれているので「今日は2セクション確認しよう」など進捗目標を立てやすい点も愛用者が多い理由の一つでしょう。長い歴史を持つ単語集だけに隙のない作りという印象です。現代の勉強法に合わせて音声ダウンロードに対応していたり、無料アプリで一問一答チェックが出来る点もgood。
よくされる質問として「もう少し簡単なターゲット1400から始めるべきか」というものがありますが、中学〜高一レベルの単語がよほど分からないという場合を除いてターゲット1900から始めてしまって良いと思います。というのも1400と1900、実は収録単語のうち約1000語くらいは被っているのです。だったら最初から1900を使ってしまった方が効率がいいです。超基本単語からやり直したい場合は1400ではなく更に入門編のターゲット1200を終わらせてから1900に移行するのが良いでしょう。
英語長文の中で単語を学んでいく形式 速読英単語 必修編

速読英単語 必修編(Z会)
本書は短めの長文の中で単語を覚えるスタイルを採っており、他書に比べて実践的な作りが特徴です。英文の中で単語を覚えることで「推測力」が身につき、またお気に入りの漫画を繰り返し読んでいるといつの間にかセリフを覚えているのと同様に「場面とセットで自然と身につく」というメリットがあります。収録されている英文の内容も入試でよく見かけるトピックが選ばれているので、総合的な知見を広げるという意味でも有用。付属の別冊では収録されている英文の構造や重要文法などが解説されているので、自分の理解度の確認や復習のきっかけとして用いることも出来ます。
デメリットとしては収録単語が頻出順に並んでいるわけではないので、一通り終わるまでは他の単語集を使っている生徒が初期に覚えた単語に触れられない可能性が挙げられます。その意味では1冊通しで何度も繰り返さないと中々効果を実感しづらいという懸念はあります。また収録英文の文法的・構造的なレベルも決して低いわけではないので、英語が苦手な人が一冊目に使う単語集としては正直向かないかもしれません。
以前は音声利用に弱点があったのですが、近年の改訂でオンラインで音声が聴けるようになりました。英語が得意(好き)な高校生、あるいは上位大学を目指している人の一冊目の単語集として用いると大変有用であると言えるでしょう。
一文で複数の単熟語を学んでいく形式 DUO 3.0

DUO 3.0(アイシーピー)
本書はなかなか変わった、というか欲張りな構成で1英文の中で複数の単語と熟語を一気に覚えてしまおうというコンセプトになっています。全部で560英文収録されているので、全ての英文を覚える頃には英作文に使える表現も自然と身につく効果が期待できます。単語だけではなく熟語も一緒に学べるというのは存外便利なものです。
初版が発行された2000年当時はCDと組み合わせて英文560本分の音声を60分で聞き取れるようになることを目標とする画期的な作りがウリの一つでしたが、その後はネットの発展と共に音声をオンライン利用出来る教材が増えて時代に置いて行かれた感がありました。そんな本教材も近年ようやくabceedにアプリ版がリリースされ、他教材に近い使い方が可能になっています。
注意点としては収録単語・熟語が必ずしも大学受験に向けたものだけではないということです。素晴らしい教材なのですがTOEICやTOEFL、英検等も視野に入れた作りになっているので大学受験だけに特化した単語集が欲しいという方は注意しましょう。
実際の出題を意識して単語を学んでいく形式 必携 英単語 LEAP

必携 英単語 LEAP(数研出版)
本書は学校採用教材を多数出版している会社から出ている単語集なので、既に学校で使っているという方もいるかもしれません。著者の竹岡先生は受験指導業界では大変に有名な先生で、単語集でありながら文法・語法問題でどのように出題されるのか等の情報が満載です。また出題ジャンル毎に英単語がグルーピングされており、似たような系統の意味の単語をまとめて暗記しやすいという点もメリット。単語に関連する熟語や例文も多数掲載されているので、関連知識の紐付けを行いやすいと感じる方もいるでしょう。また単語集としては後発の部類であり、ごく最近改訂が行われたこともあって、オンラインで利用出来るデジタルコンテンツが充実していることも特徴です。
一方で単語が出題頻度順には並んでいないことや、受験を意識するがゆえの情報量の多さから相当なやり込みが要求されることも事実です。即効性に期待して用いるような単語集ではなく、どちらかといえば高校1・2年生が受験を意識しながら腰を据えて取り組むのに向いている作りと言えるでしょう。そのあたりは良くも悪くも学校用教材の会社から出版されている単語集だなといった印象でもあります。
英単語集の選び方 まとめ
というわけで偏差値50〜60前後の大学入試を突破するという目的のもと、形式別におすすめの単語集を何冊かピックアップしてみました。もう少し簡単な、あるいはより難しいレベル帯向けのおすすめ単語集についてはまた別の機会にご紹介しようと思います。
昨今の大学入試英語は、特に共通テストでその傾向が顕著ですが速読力が重要視されてきています。ある程度英文構造を分析するチカラがあれば単語の意味の推測は可能ではありますが、それでもやはり元から意味を知っているというスピード感に勝るものはありません。極論を言えば、今の大学入試英語は単語力でその勝敗が決まると言っても過言ではないくらいの状況です。とにかく早め早めの対策をしていきましょう。明日から、来週から、来月から、部活を引退してから、では手遅れな状況になりかねません。自分好みの一冊を見つけて、その単語集をとことん使い倒しましょう。当塾の塾生さんであれば、ここに挙げた単語集は全て書棚に置いてありますのでいつでも参考にしてみてくださいね。みなさんの健闘を祈ります!